方言だからこそグッとくる!岡山弁で呼ばれたい…『でーれーガールズ』(大九明子監督のコメントあり)【水石亜飛夢の映画ノート page.8】 2023.3.9

水石亜飛夢さんが、いま一番気になる映画監督の過去作を鑑賞し、見どころ、印象的なシーン、俳優視点で感じたことなどをお伝えします。 今回の作品は、大九明子監督の『でーれーガールズ』です。方言大好きな水石さんは岡山弁にドキドキしながら本作を楽しまれたようです。大九明子監督のコメントと合わせてご覧ください。
©2015 原田マハ/祥伝社/「でーれーガールズ」製作委員会
監督 / 大九明子
原作 / 原田マハ
出演 / 優希美青、足立梨花、白羽ゆり、安蘭けい
©2015 原田マハ/祥伝社/「でーれーガールズ」製作委員会
あらすじ
1980年、東京から岡山に転校した佐々岡鮎子はクラスに馴染めずにいた。ある日、大学生ヒデホくんを主人公にした自作の恋愛マンガを、美人のクラスメイト秋本武美に見られてしまう。次第に仲を深める2人だったが、ある事がきっかけでケンカ別れに。30年後、売れっ子漫画家となった鮎子は講演会のために母校へやって来たが…。
高校時代の友人関係は一生もの
©2015 原田マハ/祥伝社/「でーれーガールズ」製作委員会
本作は女子校が舞台の1980年と、大人になった彼女たちが描かれる現代パートが交差して展開する物語。男子がいない場面で女子たちがどう過ごしているのか、僕はもちろん知らないので、新鮮な気持ちで楽しめました。高校の頃の友人関係って一生ものというか、僕もいまだに深い仲の友達が何人かいます。すごく引っ込み思案な性格だったので、高校では変わりたいと思い、席が近い元気そうな子に自分から話しかけたりしていたんです。そうしたら偶然、BUMP OF CHICKENが好きな人がいて意気投合して。いまだによく会う親友は、最近引っ越しをした時にも手伝ってもらいました(笑)。
そうそう、彼が履いているのを見て買った靴があるんです。マネをしたと言い出せずにずっと隠していたのに、引っ越しの時にバレちゃいました。彼は高校生の頃に二人で買い物に行った時も同じマフラーに目をつけたほど、すごく趣味が合う。女子ならおそろいもかわいいでしょうけど、さすがに男子同士ではナシだなとじゃんけんをして。その結果、彼が買うことになったんですけど、僕も後から似たようなノルディック柄のマフラーを買いました(笑)。
方言は世界を救う!?
岡山が舞台の作品ということで、みんな岡山弁で話しているんですが、方言だからこそ、よりグッとくるシーンもありましたし、方言で話す女子ってかわいいですよね。僕は神奈川出身で方言にあまり馴染みがなかったからだと思うんですが、東京近郊の男子は総じて方言に弱いですよね?そんなことないですか?武美(演・足立梨花)が鮎子(演・優希美青)を“でーれー佐々岡”と呼んでいたように、“でーれー水石”なんて呼ばれた日にはもう、おかしくなっちゃいますね。そのくらい僕は方言が好きです!
方言で話すと周りの女子から“あざとい”と思われるから、あえて方言を出さないようにしている、という話を聞いたことがあるんですが、僕としてはどんどん出していってもらいたいです。方言のほっこり感は、世界を救うと言っても過言ではないです!
実は男子から甘えられるタイプ
©2015 原田マハ/祥伝社/「でーれーガールズ」製作委員会
鮎子と仲良くなってからの武美は、鮎子にべったりで最初の登場からかなり印象が変わるくらい、ものすごくギャップがあるんですが、実は僕も結構周りから甘えられるタイプなんです。だから、外ではそんなことがない男友達が自分の前ではキャラが変わるっていう経験もあります。僕は怒らない性格だし、ごはんを作ってあげることもあるからだと思うんですけど…。ただ、男友達や共演者はなぜか、すごく僕のお尻を揉んでくるんですよ!料理している時とか、手を洗っている時とか、階段を登っている時とか。あまりにもしょっちゅう触ってくるから、怒りの沸点が高いと自負している僕も、さすがにそれは「やめろって言ってるでしょ!」って怒りましたよ(笑)。
芝居にも役立つ妄想力
大九明子監督の作品には、妄想しがちな女子がよく登場しますが、本作の鮎子もそういうタイプで、映像や演出も大九監督らしさがある作品だと思いました。僕も結構ベタな妄想をしたりするんですが、その妄想力は芝居をする上でも役に立っているな、と思います。特にアドリブをたくさんできる役の時は、このキャラクターだったらこういうことをするだろう、こう動いたらこうなるんじゃないか、なんてことをよく考えています。
3月24日(金)から公開になる映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』で僕が演じた田坂さんもアドリブ満載で、たくさん妄想しながら演じました。前作では1シーンの登場でしたが、今作では出演シーンも増え、ストーリーにもしっかり絡んでいます。阪元裕吾監督とは4回目のお仕事になるので、信頼関係もできていて、いい意味で好き勝手やらせてもらいました(笑)。単館系のオリジナル映画で続編が作られることってなかなかないと思うし、2作目が1作目を超えることはなかなか難しいイメージもありますが、試写でこれまでにないほど笑いが起きるくらいパワーアップしているので、ぜひ観ていただきたいです!
大九明子監督からのコメント
1ヶ月弱、全編岡山で合宿ロケを行いました。暑かったなあ。
数十年前の岡山が舞台ですが、山口百恵さん引退の1年間にスポットをあてようと思いついたことで、突如、登場人物たちがリアリティを持って動き出したように記憶しております。
俳優のことは公開当時にも多々語ってきましたので、ここではプロデューサーのご紹介をしてみましょうか。これが映画1本目だった白石裕菜さんは当時24歳。私の前に突如「あなたと映画を作りたい!」と弾むように現れた印象があって、これが鮎子の躍動と重なり、ラストの疾走へとつながりました。その後白石さんとは『勝手にふるえてろ』を作るなど、長い付き合いとなっております。
大九明子
おおくあきこ|映画監督
横浜市出身。1997年に映画美学校第1期生となり、『意外と死なない』(99)で映画監督デビュー。『勝手にふるえてろ』(17)で、第30回東京国際映画祭コンペティション部門・観客賞などを受賞。『私をくいとめて』(20)が、第33回東京国際映画祭・TOKYOプレミア2020にて史上初2度目の観客賞、第30回日本映画批評家大賞・監督賞を受賞。最新作は2022年『ウェディング・ハイ』。
撮影 / 西村満 文 / 大谷和美 スタイリスト / 山川恵未 ヘアメイク / 木内真奈美(OTIE)
衣装 / シャツ¥26,400/VUy(JOYEUX)、ワイドパンツ¥26,400/VU<問い合わせ先>JOYEUX/03-4361-4464

1996年1月1日、神奈川県生まれ。ドラマ「あなたの番です。」「相棒17」、映画『青夏』映画『センセイ君主』など話題作に出演。「魔進戦隊キラメイジャー」では押切時雨役/キラメイブルーを務めた。近作に『鋼の錬金術師 完結編』がある。