水石亜飛夢「自分の名のようにアジアを飛び、もう一度大きなホームランを」──泥臭いキャリアの原点と、表現者としての未来 2026.8.24
シネファ presents『Creator Scratch Radio』
16歳でスカウトされ、ミュージカル『テニスの王子様』でデビューを飾って以来、『牙狼〈GARO〉』『魔進戦隊キラメイジャー』、そして映画『ベイビーわるきゅーれ』や海外ドラマ『TOKYO VICE』まで、幅広い作品で異彩を放ち続ける俳優・水石亜飛夢(みずいし・あとむ)。
応援ECプラットフォーム「シネファ」が主催するトークイベント『Creator Scratch Radio』のステージに登壇した彼は、人前に出ることが大嫌いだった少年時代から、泥臭く役を掴み取ってきた20代の葛藤、そしてエンタメを通じた社会貢献活動や今後の展望について、飾らない言葉で語った。
クラウドファンディングなどを通じて作り手と観客を結ぶ本企画のステージから、一人の表現者の現在地を解き明かす──。
「役者として、『水石亜飛夢』という名前に負けない圧倒的な存在になりたい」
「人前に出るのが大嫌いだった。でも、自分を燃やしながら続けていく」
水石亜飛夢
人前に出るのが大嫌いだった少年が、スカウトから「役者」に覚醒するまで
── 本日はこれまでの歩みについてたっぷり伺えればと思います。そもそも、この世界に入られたきっかけは何だったのでしょうか。
水石:高校生(16歳)の時に、地元近くの町田でスカウトしていただいたのが始まりです。でも、当時の僕は人前に出るのが本当に大嫌いな子供で(笑)。運動会になればお腹や歯が痛くなるし、クラスの音楽会で樽太鼓を叩くオーディションに行くときも吐きそうになりながら受けていました。
── そこから一転してオーディションを受けることになるわけですね。
水石:事務所の社長から「あなたはこのオーディションを受けます。受かります」と言われて、右も左もわからないまま受けたのが『テニスの王子様』の舞台でした。当時は完全な受け身だったんです。ただ、デビュー前に通っていたワークショップで、1回だけ台本を無視して勝手な芝居をしたことがあって。その時にすごく褒められたんですよね。それまでの人生で自分の得意なことや誇れるものが何もなかったので、「あ、自分も褒められるんだ、お芝居が得意なのかも」と思ったのが、好きになった最初のきっかけでした。
16歳でのデビュー当時を振り返る水石亜飛夢氏
千葉の山奥での撮影から「クズ役」ばかりの20代前半──泥臭く掴んだキャリア
── 高校時代には特撮ドラマ『牙狼〈GARO〉』のクロウ役で映像作品にも本格進出されました。当時の生活はかなり過酷だったとか。
水石:昼過ぎまで学校の授業に出て、マネージャーさんの車で千葉の山奥やスタジオに向かい、夜通し撮影をして朝方に帰宅してシャワーを浴びてまた学校へ行く……という日々でした。授業中は当然寝てしまうので成績は惨状で(笑)。大学受験も厳しく、「これは腹をくくって役者一本でいかなきゃダメだ」と覚悟を決めた出来事でしたね。
── その後、特撮ヒーロー作品や話題作へ次々と出演されていますが、順風満帆だったのでしょうか。
水石:いえ、戦隊シリーズに出るまでの数年間は、順風満帆という訳ではないですが、地道にオーディションで役をいただけるようになりました。特に20代前半の頃はクズ役に定評があり、様々な悪いことを作品内で演らせていただきました(笑)。オーディションでも「僕、今クズの役しかやってないんです」と自己紹介していたくらいです。でも、『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾監督との出会いや、セルフテープを何度も送って掴み取った『TOKYO VICE』など、泥臭く実績を積み重ねていくことができました。
これまでの出演作や役柄の幅広さについて語る様子
エンタメを通じたボランティア活動と「自炊界隈」
── 役者活動のかたわら、個人で一般社団法人も立ち上げられていますね。どのような活動をされているのですか。
水石:営利目的ではなく、ボランティア活動のような形でエンタメを通じた支援を行っています。以前はクラウドファンディングを活用してひとり親のご家庭に食事を届ける活動をしましたし、みんなで一緒に料理を作って楽しむ「自炊界隈」というイベントも企画・開催しています。
── 料理やお酒もお好きとのことですが、プライベートでの気分転換は?
水石:コロナ禍の隔離生活で本格的に料理を作るようになってからハマりました。休みの前日にお酒を限界まで飲んで、映画を観たり、自分でつくったおつまみを楽しんだりするのが最高の時間ですね。渋谷のメガドンキ近くにある「嵯峨谷」というそば屋さんも大好きです。
「アジアを飛ぶ夢」──大きなホームランをもう一度打ちたい
── 今後やってみたい役や、将来の目標について教えてください。
水石:役柄で言えば、『スマホを落としただけなのに』の成田凌さんのような、狂気的で物語を掻き回すシリアルキラーみたいな役は一度やってみたいですね(笑)。
── 将来的なビジョンはいかがでしょうか。
水石:僕はこれまで大手のバックアップやバーターではなく、愚直にオーディションとオファー、そしてリピートだけでやってきました。一度『TOKYO VICE』のような規模感を経験したからこそ、もう一度海外作品などの大きい場所で「ホームラン」を打ちたいという思いがあります。
── 「水石亜飛夢」というお名前も非常に印象的です。
水石:16歳離れた兄が「アジアを飛ぶ夢」という意味を込めて名付けてくれた名前です。役者として、その名前に負けない圧倒的な存在になりたいと思っています。この世界で続けることは楽ではありませんが、自分を燃やしながら、長く表現を続けていきたいです。
将来の展望とファンへの感謝を語る笑顔の登壇者
トークの終盤、客席からの質問に丁寧に答えながら、柔らかな笑顔を見せていた水石氏。華やかなスポットライトの裏側で、不器用なまでに愚直に役と向き合い、地道な努力とボランティア活動を重ねてきた彼の言葉には、静かな熱量が宿っていた。
客席との質疑応答も交え、和やかな雰囲気のまま幕を閉じたトークセッション
自らの名に刻まれた「アジアを飛ぶ夢」に向かって、彼が次にどんな挑戦を見せてくれるのか、その飛翔から目を離すことができない。
プロフィール
水石亜飛夢(みずいし・あとむ)/ 俳優
2012年、16歳でミュージカル「テニスの王子様 2ndシーズン」の柳蓮二役で俳優デビュー。舞台を中心に研鑽を積んだのち、2014年にTX系列の特撮ドラマ「牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-」で主人公と共闘する魔戒騎士クロウ役で一躍脚光を浴びる。2016年には一人芝居「二十歳の暗殺者」を上演し、巧みな表現力が話題となる。趣味と特技を生かした身体能力にも定評があり、2017年の映画「武曲 MUKOKU」では剣道部主将・迫役で存在感を放つ。同年の映画「鋼の錬金術師」では主人公の弟アルフォンス・エルリック役のスタンドインをオーディションで勝ち取り、その演技の完成度の高さから声優にも抜擢される。2020年、EX系列のスーパー戦隊シリーズ「魔進戦隊キラメイジャー」でキラメイブルー/押切時雨役を好演、全国区の人気を博す。
イベント情報
シネファ presents『Creator Scratch Radio』
ゼロから何かをつくる人の“はじまり”や“想い”を聞いていくラジオ。映画を中心に、音楽やアートなどジャンル問わず、クリエイターの方をゲストにお迎えして、企画のスタートから作品に込めた想いまで、楽しく掘り下げていきます。今後も多彩なゲストをお呼びして、不定期開催予定。
リンク
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https://cinefa.terraceside.jp/